【経済指標】6月東京消費者物価3.2%上昇、2カ月ぶり伸び拡大-電気押し上げ【東京都区部CPI】
→コアコアCPIは3.8%上昇、1年5カ月ぶりに前月を下回る
全国の物価の先行指標となる6月の東京都区部の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は前年同月比3.2%上昇と、伸び率は2カ月ぶりに拡大した。東京電力による家庭向け電気料金の値上げを反映し、電気代が押し上げ方向に寄与した。総務省が30日発表した。
□統計局ホームページ/消費者物価指数(CPI) 東京都区部速報(最新の月次結果の概要)
https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/index-t.html
市場予想は3.4%上昇だった。電気代は10.9%減と前月から下落幅が縮小し、生鮮食品を除く食料は8.9%上昇と横ばい。一方、家庭用耐久財や宿泊料がマイナス方向に寄与した。前月は速報値の3.2%上昇から3.1%上昇に改定されていた。
エネルギーも除いたコアコアCPIは3.8%上昇と、前月の3.9%上昇から伸びが縮小した。前月を下回るのは22年1月以来。市場予想は4.0%上昇だった。
日本銀行はコアCPIが輸入物価の下落などを背景に2023年度半ばにかけてプラス幅を縮小するとみているが、基調的なインフレ圧力は根強く、次回7月の金融政策決定会合で物価見通しが来年度以降を含めて上方修正されるかが焦点となる。ただ、植田和男総裁が物価の先行きに慎重な見方を示す中、今回の結果は市場で観測がくすぶる同会合での政策修正を後押しするものではないとの見方が出ている。
ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎経済調査部長は、「底堅い内需を見ても、経済は正常化してきている」と述べる一方、「だからと言って日銀が政策を引き締めないといけないということにはならない」と指摘。日銀が望むような価格転嫁や賃金上昇を伴う物価上昇が定着していく可能性は極めて低く、「植田総裁もそこは慎重にみているので引き締めには簡単にはいかない」と語った。
植田総裁は28日開催された欧州中央銀行(ECB)フォーラムで、来年インフレが上向くと確信を持てれば、金融政策の正常化に着手することはあり得ると語った。コアCPIはプラス幅の縮小後に再び伸び率が拡大するとの見方を改めて示したが、インフレが再加速するとの予想は「さほど確信できていない」と語った。
都区部コアCPI 伸び率2カ月ぶり拡大 | 市場予想は下回る
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□ブルームバーグ・エコノミクスの見方
「インフレ率は7月から鈍化するとわれわれはみている。全国コアCPIが日銀目標の2%を下回ってくるのは今年第4四半期だろう」
木村太郎シニアエコノミスト
□詳細(総務省の説明)
●電気料金の値上げを受け、コアCPIの押し上げに最も寄与したのはエネルギーの下落幅縮小
●マイナスに寄与した宿泊料は、全国旅行支援を再開する自治体が出ているため
●家庭用耐久財はルームエアコンの新商品への切り替えのタイミングの違いが影響
●コアCPIの上昇品目数は、全522品目のうち413品目。5月は412品目
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2023年6月30日 8:36 JST 更新日時 2023年6月30日 11:11 JST
Bloomberg
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-06-29/RWZSQXT1UM0W01