Twitter解雇、社内外混乱「人権担当まるごと」
短文投稿サイト「ツイッター」の経営が混乱に陥っている。米電気自動車大手テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が買収後、大規模なリストラに踏み切ったためだ。米メディアによると、全従業員の半数に当たる約3700人が4日までに突然解雇された。日本法人の社員も対象になった模様だ。ツイッター上には、リストラされた社員によるとみられる悲鳴のような投稿が相次いだ。
一方、リストラによる投稿管理部門の弱体化で虚偽投稿やヘイトスピーチ(憎悪表現)など問題投稿が放置される事態を懸念し、大企業が次々と広告出稿を取りやめる事態にもなっている。
「昨日がツイッターでの最後の日だった。人権問題を担当するチームがまるごと解雇された」。マスク氏によるリストラが始まるとツイッターにはそんな報告が相次いだ。
「#OneTeam」などのハッシュタグがついた投稿も相次ぎ、「ツイッターで働けた期間は素晴らしい時間でした」などと同僚への感謝やねぎらいをつづった書き込みであふれた。
米紙ニューヨーク・タイムズによると、社員らは4日までにメールで解雇通知を受け取ったといい、解雇された社員は3日深夜から順次、社内システムにアクセスできなくなった。事前通告のない大量解雇は違法として、複数の社員がツイッターを提訴したという。
マスク氏はツイッター買収手続きを終えた10月27日、「ツイッターを何でもありの地獄絵図にすることはあり得ない」とツイート。投稿規制の在り方を議論する協議会を設置する考えも示していた。しかし、今回の大量解雇で、問題投稿を監視する部門が弱体化するのは避けられそうにない。
一方で、米メディアは、米製薬大手ファイザーや独自動車大手アウディなどがツイッター向けの広告を停止したと報道。既に米自動車大手のゼネラルモーターズやフォード・モーターも広告を一時停止している。デマやヘイトなどの問題投稿が横行し、自社のブランドイメージが損なわれるのを恐れたためとみられ、大企業の多くがツイッターから逃げ出した格好だ。
マスク氏は4日にツイッターで「活動家グループが広告主に圧力をかけたため、収益が大幅に減少した」と書き込んだ。
ツイッターは情報発信のプラットフォームとして世界的に大きな存在感があるが、売上高の9割を占める広告収入が振るわず業績不振が続いている。440億ドル(約6・4兆円)でツイッターを買収したマスク氏は、収益改善を急いで人件費削減に動いたとみられるが、逆に広告収入を失いかねない状況だ。
マスク氏は現在、著名人や企業の公式アカウントに無料で付けている認証マークを有料化する方針を示したが、これも顧客離れを招く恐れが指摘されている。【ワシントン大久保渉】
毎日新聞 2022/11/5 11:44(最終更新 11/5 14:22)
https://mainichi.jp/articles/20221105/k00/00m/030/070000c
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