【悪い円安?】円140円台に下落、24年ぶり安値更新
日本時間1日朝方に、7月14日に付けた1ドル=139円38銭の直近安値を超えて下落した。海外市場に移ると、1日発表した8月の米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景況感指数が市場予想を上回ったことを受け、FRBが今後も利上げを続けるとの見方が改めて強まった。幅広い通貨に対してドル高が加速したことで、心理的節目の140円を超えた。
8月25~27日に米国で開いた経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」でパウエルFRB議長が高インフレを抑えるために利上げを続ける姿勢を鮮明にした。31日には他のFRB高官からも利上げ継続への強い姿勢が示され、米金利の上昇に伴いドル高が進んだ。対ユーロでもドル高が進み1ユーロ=1ドルの「等価(パリティ)」を割り込む場面が増えている。
円安が加速し始めたのは3月中旬だ。ロシアのウクライナ侵攻をきっかけに世界で商品価格が高騰し、物価上昇の加速でFRBを中心に各国・地域の中銀が金融引き締めを急ぐ姿勢を示した。一方、日銀は「物価上昇は輸入インフレ主導で一時的」との姿勢を崩しておらず、物価上昇率が目標の2%に達した後も大規模な金融緩和を続ける姿勢を保っている。日米金利差の拡大が円売り・ドル買いにつながった。
商品価格の高騰で資源を輸入に頼る日本の貿易赤字が拡大していることも円安材料となっている。輸入企業は支払いのために市場でドルを調達する必要がある。貿易赤字が拡大すればするほど実需の円売りがかさみ、円安・ドル高が進みやすくなる。円売り材料が重なった結果、今年の円の下落幅は25円まで広がった。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB14B6L0U2A710C2000000/