日鉄の「実力損益」4~6月期は過去最高
2023/8/4 20:21 産経新聞
https://www.sankei.com/article/20230804-GWZSXR7M6NK6PDZ5G2M57IALLI/
鉄鋼各社の業績が好調だ。日本製鉄が4日発表した令和5年4~6月期の連結決算は、本業のもうけを示す事業利益が減益となったものの、鉄鋼メーカーの実質的な競争力を示す指標で、在庫評価などの一過性要因を除いた実力ベースの事業損益(実力損益)は過去最高を更新した。高炉休止などの合理化や価格適正化の努力を含め、筋肉質な企業への改革に取り組んできたことが実を結んでいる。
「(世界的な需要低迷という)厳しい事業環境が継続している中で、高い水準の利益を実現できた」
4日にオンライン上で記者会見した日鉄の森高弘副社長は、4~6月期決算をそう評価した。
売上高に相当する売上収益は、前年同期比14・6%増の2兆1997億円と増収を確保。事業利益は26・6%減の2487億円で減益となったが、実力損益は2500億円と4~6月期として過去最高となった。最終利益が23・3%減の1770億円となったのも、使用する原料の価値が原料安で目減りしたためで、悲観することではない。
相次ぐ値上げで上昇した鋼材価格がそれほど下がっていない一方、原料価格は一服感が出て値下がりしたため、マージン(利ざや)はむしろ拡大した。合理化や高機能鋼材へのシフトを進めたことも奏功した。
3日に4~6月期決算を発表したJFEホールディングス(HD)も、事業利益は27・3%減の848億円となったが、寺畑雅史副社長は販売価格改善の取り組みによって「損益は大幅に改善している」と前向きに話す。
日鉄は、6年3月期(通期)の事業利益予想を従来比で400億円多い6900億円、最終利益は300億円多い4千億円に引き上げた。実力損益は8400億円と、3年連続で過去最高を更新する見通しだ。
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