米消費者物価5.0%上昇 3月、9カ月連続で鈍化 市場予想を下回る
2月の上昇率は6.0%だった。2022年6月の9.1%から鈍化を続け、新型コロナウイルス禍が深刻になる前の2%からみた伸び幅は半分ほどになった。
エネルギーと食品を除くコア指数の上昇率は市場予想通りの5.6%で、2月の5.5%から大きくなった。伸びはおよそ2年ぶりに総合指数を上回った。
下落率が大きいのはガソリンだ。
米エネルギー情報局(EIA)によると、全米平均のガソリン価格は3月に1ガロン(およそ4リットル)3.4ドル程度で推移した。22年6月にかけて1ガロンあたり5ドル超まで急騰した反動で前年同月比でみれば当面は大幅なマイナスになる。
価格そのものは下げ止まり、22年末の3.1ドルからはむしろ値上がりしている。石油輸出国機構(OPEC)プラスの減産方針を受けて進んだ原油高がこれから末端価格に反映される可能性もある。
物価のおおまかな方向感を探るため振れ幅の大きなエネルギーや食品を除いた指数の動きをみると、モノの価格上昇が落ち着く一方でサービス価格の上昇はなお根強い。
一度上がり始めたら止まりにくい外食価格などを集計したアトランタ連銀の「粘着インフレ指数」は22年12月から23年2月まで前年同月比の上昇率が6.7%のまま高止まっている。
背景には物価に遅れて強まった賃上げの勢いがある。
企業は人件費を価格に転嫁し、所得の増加が個人消費を根強くしている。国際通貨基金(IMF)は想定より根強い物価動向を反映し、11日公表した経済見通しで米国の23年の消費者物価上昇率を4.5%と22年10月見通しの3.5%から大幅に上方修正した。
利上げの停止時期を探る米連邦準備理事会(FRB)が物価を見る上で注目しているのが、金融不安を背景にした融資など与信環境の引き締まりだ。企業が雇用や投資への積極姿勢を弱めれば、物価上昇の勢いが鈍るとの見方はある。
日本経済新聞 2023年4月12日 21:34
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN11DGG0R10C23A4000000/