「ガスト」「バーミヤン」で深夜営業が続々復活 人手不足で中止したはずなのに、なぜ?
なぜ深夜営業を再開できたのか
すかいらーくホールディングス(HD)の「ガスト」「バーミヤン」「ジョナサン」が、3月13日から深夜営業を続々と再開している。
例えば、東京都内にある「ガスト下北沢駅前店」は、3月20日から閉店時間を午前5時としている。バーミヤンやジョナサンの店舗でも、閉店時間を午前2時や午前5時に設定しているところが少しずつ増えている。
同社は、今年の夏までに約250店で深夜営業(午前2時閉店、午前5時閉店、24時間営業含む)を実施する予定としている。また、主要ブランドの閉店時間を午前0時まで延長する方針を打ち出している(延長対象は約2000店舗)。
コロナや人手不足で深夜営業中止
すかいらーくHDは2020年7月1日から、グループ全店の閉店時間を遅くとも午後11時30分に変更。日をまたぐ深夜営業を原則廃止していた。
理由はいくつかある。
同社は20年5月時点で、コロナ終息後も人々の生活の中心がランチやディナータイムへ移行し、深夜時間帯のニーズは減少すると想定。公式のプレスリリースでは「消費動向の変化を捉え、この先のライフスタイルに適した営業時間の見直しを行っていく」としていた。
宅配やテークアウト需要の拡大も背景にある。「(利用客の注文が増える)ランチタイムやディナータイムに人的資源を集中させ、イートイン以外のビジネスの需要拡大への対応とレストランの顧客サービス品質向上を目指す」と説明している。
また、人手不足解消という側面もあった。シニアや女性の従業員でも働きやすい職場環境を実現するためには、深夜営業時間の短縮が欠かせないと判断していた。
夜に働いている人のニーズ
なぜ、一度廃止していた深夜営業を復活させたのか。同社の広報担当者は「ポストコロナで、深夜の需要が回復した。働いている方を中心に『夜に食事ができる場所が少ない』という不満がある。社会的なニーズに対応するためだ」と説明する。
収益改善の狙いもある。インフレによって消費者の可処分所得が減っているだけでなく、水光熱費・人件費・原材料費といったコストが増加していることに同社は危機感を抱いている。売り上げを成長させるため、業態転換や海外出店を推進したり、メニュー戦略を見直したりしている。こうした施策に加え、営業時間を延長することで売り上げ増につなげたい考えだ。
では、人手不足問題はどうやって解決したのか。すかいらーくグループでは、22年にレジを中心にシステムを刷新。23年も継続してDXを推進することで生産性向上に努めてきた。
同社の22年度決算説明資料によると、新POSレジを全店に導入したことで1日当たりの労働時間が30分減少したという。また、800台超のキャッシュレス・セルフレジの設置を完了しており、その利用率は25%を超える。レジ業務に割く時間がどんどん減っているのだ。
導入した3000台のネコ型配膳ロボットも活躍している。ロボットが活躍することで、ガストでは片付け時間が35%、歩行数が42%それぞれ削減されたという。
このように、DXを推進することで深夜営業を復活させる準備が整ったというわけだ。
コロナ禍で夜時間帯の需要が減ったため、営業時間を短縮したり、朝食メニューを強化したりする外食チェーンが増えていた。しかし、本格的にコロナ禍が落ち着いてきた今、朝営業を中止し、夜の営業時間を延長する動きも少しずつ出てきた。今後も、深夜営業を復活させるチェーンが増えてくるかもしれない。
ITmedia ビジネスオンライン
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