【経済】日銀総裁、金融緩和は成功だった
黒田総裁は、金融政策の具体的な効果として、デフレを解消して経済を活性化させ、400万人以上の雇用創出で就職氷河期と言われた状態を完全に解消したことなどを挙げた。副作用よりも経済に対するプラスの効果が「はるかに大きかった」とした上で、一貫して2%の物価安定目標の実現を目指して大規模緩和を続けてきたことは「間違っていなかった」と述べた。
労働需給面で賃金が上がりやすい状況になりつつあるとし、賃金と物価が上がらないというノルム(社会規範)にも変化が生じていると説明。予想物価上昇率の伸びも踏まえると、2%目標が「賃金の上昇を伴う形で達成されるのが少し近づいてきた」との見方を示した。
大規模緩和はアベノミクスの第一の矢として、黒田総裁の就任直後の2013年4月に導入された。2年程度での物価目標実現の宣言と合わせて打ち出したことで、「明確なメッセージを打ち出し、大規模な金融緩和の実施を行ったことはそれなりの効果を発揮した」と指摘。金融政策に過度の負担がかかったとは思わないとし、「3本の矢ということでアベノミクスを進めたこと自体は正しかった」と語った。
今回会合では、長短金利を操作するイールドカーブコントロール(YCC)政策を軸とした大規模な金融緩和策の現状維持を決めた。長期金利の許容変動幅も上下0.5%に据え置いた。景気は「持ち直している」との判断を維持する一方、輸出と生産は「横ばい圏内の動き」に引き下げた。
黒田総裁は、大規模緩和の副作用に関しては、日本の金融システムは金融機関の信用仲介機能という点で過去10年間、十分発揮されて「問題なかった」と指摘。昨年来の債券市場の機能度低下についても、「副作用が非常に累積しているとはあまり思っていない」と述べた。
https://news.yahoo.co.jp/articles/7e331f9a914ca963d11c09186f1f0954b1cc2cdd