少子化でも、作品の劣化でもない…「ラノベ市場」が10年で半分以下に衰退した意外すぎる理由
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(略)
「若者のラノベ離れ」はなぜ起きたのか?
結果、起こったのが本来メインターゲットだったはずの10代の急速な客離れであり、市場の半減だ。
なぜ10代向け市場に大人向けを加えると10代に敬遠されるのか。
たとえば若者向けの服の売場に突然おじさん向けの服も売られるようになったら「従来どおりのものも売っていますよ」と言われたところで、若い人は「なんか違う」と感じ、積極的にその店を使いたいと思えなくなるだろう。
それと同じで、2000年代までは中高生にとってラノベというカテゴリは「自分たち向けのジャンル」と積極的に思える場所だったが、2010年代以降は「自分たち向けの作品も一部にあるジャンル」程度の位置づけに変わってしまったのである。ターゲット顧客と提供価値がブレれば、当然、客離れが起こる。
従来からある「文庫ラノベ」と、ウェブ小説書籍化を中心とする「単行本ラノベ」を合算した数字を見ても、ラノベ市場は2016年の302億円(文庫202億円、単行本100億円)がピークである。
以降、単行本は横ばい、文庫ラノベは顕著な減少のために、2020年には単行本と文庫本を合算して244億円となった。なろう系書籍化作品の目先の売上(の効率性)に気を取られてラノベ文庫レーベルは大人向けに力を入れたが、トータルで見れば文庫ラノベのマーケットは従来の「中高生向け」を中核としたもののほうが大きかったのだ。
大人向けにシフトした代償に、中高生からの支持を失った。統計上、中学生の読書量は増え、高校生は横ばいだ。中高生(とくに中学生)のほうを向き続けていれば文庫ラノベのここまでの縮小は避けられただろう。それは児童書市場の活況を見れば疑いえない。